<植物症、植物状態、遷延性意識障害に関する特別外来>
目的
ご家族、知人などに所謂、植物症或いは遷延性意識障害と診断されている方々がおられましたら御来院下さい。特に更なる治療改善の可能性の有る無し等々についてお尋ねになりたいことがあれば、お出掛け下さい。
担当医師
植物症、遷延性意識障害を巡る最近の話題
植物症とは。(定義)
「覚醒はしているが、認知していない状態が少くとも3ヶ月以上継続している。」
植物症の定義は従来より、いくつか提唱されていますが、現在では上記のように、ほぼ統一されています。
もう少し詳しく説明しますと以下の様になります。


勿論、呼吸は自力でしています。しかし、周囲の認知はできません。お母さんが側に来ても、誰だか解りません。この状態を植物状態と言います。

治療法

治療の対象は主として植物症です。
従来、植物症には特別な治療法はありませんでした。しかし、中には自然に回復する症例があります。しかし、それは全ての植物症の 5% 前後と報告されてきています。しかし、1987年頃より、植物症に対していくつかの治療法が開発されてきました。勿論、有効率は極めて高いと言うわけではありません。植物症と言う状態は、それ程容易な状態ではありません。
脊髄後索電気刺激

1985年、神野らにより開発されたものです。心臓のペースメーカー類似の刺激装置を皮下に埋め込み、脊髄の2番目の頚椎の中の後索を電気刺激する方法です。(図2)
私共は1985年より今日まで200例の植物症を対象にして、この治療を行ってきました。その結果、著効37例(18.5%)、有効71例(35.5%)、無効92例(46.0%)でした。著効、有効率例は外傷由来の植物症で、年令が若く、そして大事なことは脳の局所血流が、脳の100gm当り1分間に20ml以上であることです。
脳深部電気刺激療法
1993年、Cohadon、坪川らにより開発された方法で、脳深部の覚醒に関する核を電気刺激する方法です。
正中神経刺激法
1993年Cooperらにより開発されました。手の正中神経を電気刺激します。
迷走神経刺激法
1998年Joneらにより開発されたもので頚部で迷走神経を電気刺激する方法です。
治療の適応
以上の如く、治療法はいくつか開発されてきていますが、勿論、全例に有効と言うわけにはいきません。臨床的には同じように見える植物症でも、実はその脳の障害度はいくつかの段階があります。それらをよく検索し、検査しないと治療の適応が決定出来ません。
この辺のところは是非、専門家中の専門家に一度、御相談下さい。
私共の特別外来では、以上の様々な御相談と諸検査を行います。藤田保健衛生大学と共同で診断、治療を行っていきます。
また、日本意識障害学会(年に一度開催されます) 及び遷延性意識障害・家族の会(会長 桑山雄次) に関して御質問がありましたらお答えいたしますし、仲介いたします。
受診の道すじ
- まず藤脳クリニックにお電話(Tel 052-875-2235)していただき、北 和子看護部長に事情をお話しください。
- その結果、御家族の方に一度 藤脳クリニックに来て頂きます。
その際、
- 現在の主治医からの紹介状(可能であれば)
- 患者様の最近(望ましいのは1ヶ月以内)のCTかMRI
- PETかSPECTによる局所脳血流定量検査の結果
- 患者様の様子を撮影したビデオ(数分間)
※例えば表情や目で物を追う様子。手足の動き。何か意思疎通できればその様子。
- その後の検査等は藤田保健衛生大学(藤脳クリニックより車で5分位)にて行うことになると思いますが、詳細はお会いした時に御相談いたします。
- 脳血流検査日に藤田保健衛生大学病院 脳神経外科の外来(担当 森田)を受診して下さい。
- その結果、もし手術療法などが適応ありと判断された場合は、後日大学病院で手術を行います。